男女共同参画の動きと、ロールモデル。

 
 まず、どうしてここまで追い込んだんだろう。
ここまでこじらせてしまったのはまずいだろというのが最初の感想。
これは、個人レベルの問題を考えた場合。
 
 
 さて、ここからが本題。 
 今回の皇太子の発言は、極めて個人的なものであると同時に、
国家の持つメディアのひとつとしての皇室の発言としても重要です。
この会見は、日本の社会における、ホワイトカラーとして働く女性の心の病の急増、
その病の要因が、個人の資質の問題ではなく、家族制度や社会構造に起因するということを
イメージとして強くクローズアップさせました、かなり意図的に。
 
 
 
 梨園や相撲界を見れば分かるけど、女の立場に立って「怒り」を露わにする跡継ぎ男なんていない。「こういう世界なんだから、雅子、我慢してよ」で済まそうとするはずだ。梨園に嫁ぎ離婚した女たちがなぜか「ワガママ」と批判されがちなのだって、「分かって嫁いだはずだろ」な思いをみんな持っているからなわけだし。

だからなんだろうか。浩宮人気、急上昇。・・・なんで? 妻の「苦悩」に「共感」を見せる夫。その「夫」に伝統の攪乱者としての賞賛や、妻を深く愛する理想の夫という評価もチラホラと聞こえてくる。

http://www.lovepiececlub.com/kitahara/archives/000015.html
Love Piece Club : L.P.C.WEEKLY 北原みのりコラム。
 
 
 これが、20年前のかつての日本だったら、
政府の意図として「おまえ我慢しろよ」ということになって問題はもみ消されるか、
あるいはプロザックなどの向精神薬の投与か何かで無理矢理持たせる方向に
行ったかもしれません、宮内庁と内閣の方針として。
 
 しかし、今回はそういう情報がメディアを通じてリークされた。
そしてこのような"異例の会見"まで開かれた。
 
 現在のような少子社会の日本で、"優秀な"女性労働者確保と、
彼女らの労働市場参入拡大を経済政策として意図している小泉内閣は、
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この皇室での発言を機会に、日本における社会的なものに起因する心の病の急増の構造、
特に(元)女性ホワイトカラーなどに増加しているらしい心の病の問題に
政策として本格的なメスを入れようとしているのかもしれません。
 今だに存在している、女性が「会社で働く」ことや「家庭の外で働く」ことをくじく
様々な障壁の存在が政府の側から皇室というメディアを通じ
「具体的なイメージ」として提示されていると考える方が
より適切だと私は考えます。
 
 このような会見が「開催可能」である理由を考えると、
この会見が皇太子だけの行動とはとうてい思えませんし、
皇室が日本の家族制度のロールモデルである点を考慮すると、
やはり、このような発言は皇太子個人の発言であると同時に
政策の後押しを狙った効果も意図していることでしょう。
 
 もちろん、かつての皇室が提示していた「家族モデル」が破綻して、
そのようなモデルに(旧姓:小和田)雅子さんでもさすがに適合できなかったというということで
病が発症してしまったこともあるでしょう。
というか、抜群に切れる人材であった雅子さんでも持たなかった。
 
 そのようなかつての皇室が持っていた「家族モデル」から、
次世代の皇室(国家)のための「今時の家族モデル」への移行を目指す動きも
この会見からは読みとれます。
 
 
 今回の皇太子の発言は、そういう意味でも、非常に政治的ですし、
同時に『個人的なことは政治的なこと』というフェミニズムの名文もふと思い出します。
 

にんげんとして一般の家庭や社会の中でも許されざる事が菊の帳の内で行われている可能性が高いのである。
http://www.diary.ne.jp/logdisp.cgi?user=31174&log=20040512
勝谷誠彦の××な日々

 
 今までは日本の様々な場面で行われていた人間として許されざる行動が、
そして未だに様々な場面で行われている許されざる行動が、

これからは国策の場面で重要な議題として扱われることになるぞという
日本国からのの重要な「宣言」として見て取れるでしょう。

 
 
 以下個人的雑感。
 というか、本当にここまで悪い状況にならないと動けないというのは
ちょっと組織としても問題があると思います。
こういう悪質な労働条件のとき、労災とかってあるのかなぁ。