「オタクもゲイ」という連載が昔Badiであったんですが...
この日記がなんで続いているかということにも絡んで、ちょっと昔の話をします。
といってもたった3年程度前なんですが。
2chの同性愛板に「オタクでホモの人いない?」という名前のスレがあった時期があって、
(参照:
「オタクでホモの人いない? in 同性愛板」
http://yasai.2ch.net/gay/kako/990/990597156.html
「オタクでホモの人いない? (」
http://yasai.2ch.net/gay/kako/992/992655923.html
「オタクでホモの人いない? (その3)」
http://yasai.2ch.net/gay/kako/993/993488683.html
)
私はこのスレで固定ハンドル&ジサクジエンやってガンガン書き込みしていた時期がありました。
というか、このスレ中心での大阪オフ会で幹事を担当したりするほど入れ込んでました。*1
この大阪での「オタなゲイのオフ会」の幹事体験ではは反省点が結構あります。
同人誌ショップを巡るのに腐女子向け同人の宝庫である明輝堂に行かなかったとか、
オフ会開始後の最初の1時間はジャンルが全然違った*2こともあって参加者同士の接点が無く、
会食したお店でも会話らしい会話がほとんどなかったとか、
難波(日本橋)から梅田(堂山&まんだらけ)に移動するというスタイルは結構ハードだったとか、
オフ会終了後に大雨が降って、まんだらけ梅田店から駅までの移動が大変だったとか、
オフ会後のサポートが上手くいかなかったのか、自分の恋人がゲットできなかったとか...
まあ、私自身の反省点は色々あるにせよ、参加者の層の厚さもあって*3
2ch絡みのオフにしてはまずまずの成功だったとは思います。
あと、このオフ会の幹事を申し出た理由は、単純にオフ会したいという理由以外に、
雑誌『広告』誌上での東浩紀X斎藤環*4対談*5で
斎藤環×東浩紀さんがこういう発言を行っていたことを根に持っていたからということもあります
以下引用。
(22ページ4段目より引用)
斎藤「…ぼくの経験の範疇では、オタクというのはみんなへテロなんですよね。ホモのオタクなんてみたことがない」
東「いるんでしょうけど、少ないらしいですね」
斎藤「実際に倒錯しているオタクって見たことがないですね。彼ら(筆者注:斎藤氏が診断しているヘテロなオタクのこと。そのなかのひとりは『カードキャプチャーさくら』を斎藤氏に勧める)はなぜか見当識の使い分けができる。
(後略。:このあと、年齢相応のヘテロなパートナーのいるオタクの話とか、シンボルとイメージとか
フロイトとかユングとかシュレーバー症例とか色々出てくる。)」
この当時、ゲイコミニティでオタクであることを公言するというのは、
様々な意味で「恋愛マーケット」的にも「アイデンティティ」的にも危険でした。
一つは腐女子向けやおい本における同性愛"ファンタジー"の存在があります。
一部の腐女子の言動にあった「リアルホモカップルは見たくない」とかいう発言や、
やおい独自の発達を遂げた「攻め/受け」コードと同性愛者の行動がずれているところとか、
過去に尾崎南の『絶愛』などに典型的に見られるようなえらく心に痛くて悲惨な展開の801ファンタジーが受けていたとか*6。
90年代当時のゲイコミニティのなかでは、やおい本をしきりに攻撃する論者もいたような記憶がありますし、その傾向はいまもあるのかも。
また、多くの日本のアニメが基本的に「ヘテロの性愛ファンタジー」を濃縮して作られているので
ゲイが没入しにくいという傾向もあるでしょう。*7
もうひとつの理由、こちらはシンプル。
90年代当時、濃いオタクであることはゲイコミニティの中でも、(ヘテロコミニティ同様)に
恋愛対象としては「マイナス要素」をもつ属性だったこともあります。
性愛要素が重視されるギョーカイでは、特にオタクのパートナーを希望する場合を除き、
オタク属性は(隠せるうちは)隠したほうがかなり有利です。これは経験談(爆)。
今では「アニソンEX(http://www5c.biglobe.ne.jp/~udon/anison/)」や「アキバナイト(http://www.badi.jp/qube/akiba/)」のようなイベントがありますが、
様々な嗜好によって細分化されているゲイナイトのなかでも、ほんの数年前まで、
オタク系イベントがゲイナイトの枠内で定期的に開催されることはありませんでした。
『エースをねらえ』や『ガラスの仮面』『ベルばら』などの定番ネタは、松田聖子や中森明菜的な
ポップアイコンとして、あるいは「懐かしネタ」としてゲイ雑誌などでも扱われていましたが、
機動戦士ガンダムやタツノコプロねた、ジャンプやサンデーなどの漫画&アニメネタ、
そして多くのリアルタイムな萌えアニメに関しては
ゲイ雑誌でもあまり話題にのぼりませんでした。*8
(ネット上では、オタクであることを「カミングアウト」しているゲイが多かったかもしれませんし、
ゲイ専用のクローズドなネット掲示板でオタクの集う場所があったかもしれません。
この辺り詳しい人、コメント&トラックバック求む。)
そういえば、Badiの特集でゲイの好きな漫画&アニメのネタを特集していた号があったはずだけど、
何年の何月号だったか忘れてしまいました。あの号捨てなきゃよかった。
*1:ちなみに、このオフ会で、一組ほどオタップル(オタクのカップル)が成立らしいという噂を聞いた記憶もあります。
*2:レイヤー、対戦格闘ゲームマニア、レトロゲームマニア、薄めのアニメ好き、マンガ狂などなど
*3:参加者は7名程度だったはず。全員がジャンルがばらばらでしたが、協調性はかなりあった。
*5:「斎藤さんが萌える「ラカン理論」では語れない社会的な変化が起きていると思うので」:『広告』1999年11・12月号 特集「東浩紀のすごいデカい話」所収
*6:そういえばエヴァンゲリオンもやけに心に痛いアニメだし、90年代って痛いのがなぜか流行っていたのかなぁ...とか先日焼肉食べながらビアンの友人と話してました
*7:これとは対照的に、アメコミの映画化ではゲイファンタジーが色濃く投影されている大ヒット作として『BATMAN』や『X-MEN』シリーズなどもあります。ちなみに、日本で売れたアニメでは『少女革命ウテナ』はかなりゲイゲイしかったです。
*8:例外的に、『新世紀エヴァンゲリオン』と『少女革命ウテナ』はかなりネタにされていた記憶があります。